[FP] 継続学習(タックスプランニング)

タックスプランニング

租税法

  • 租税の定義

日本の法規には、租税に関する定義はなされていない(租税そのものの言葉の定義は見当たらない。)。

  • 租税法の基本的原則

租税法は、憲法の定める「法の下の平等」(第14条)、「納税義務」(第30条)、「租税法律主義」(第84条)等を法的根拠に持つ。これより、租税法の基本的原則は「租税公平主義」と「租税法律主義」の2つとみなされている。

  • 租税公平主義

租税法における相対的な平等概念とは、所得税における累進税率構造に見られるように、担税力に応じた課税、すなわち等しい担税力を持つ人々は等しく租税を負担するという水平的公平と、異なる担税力を持つ人々は異なる租税負担を負うという垂直的公平を意味する。

  • 租税法律主義

租税法律主義とは、法律の根拠がなければ、租税の賦課・徴収は行われないという考えである。租税法律主義の機能は「法的安定性」と「予測可能性」にあるとされており、租税法律主義の具体的内容として課税要件法定主義・課税要件明確主義・合法性の原則・手続的保障の原則を挙げることができる。

    • 課税要件法定主義

課税要件法定主義とは、すべての租税の課税要件と租税の賦課・徴収の手続きはあらかじめ法律で規定しなければならないとする原則である。

    • 課税要件明確主義

課税要件明確主義とは、すべての租税の課税要件と租税の賦課・徴収の手続きは、国民が理解できるよう一義的に明快に規定しなければならないとする原則である。

    • 合法性の原則

合法性の原則とは、課税要件が充足されている限り、法律で定められたとおりの租税を徴収・納税しなければならないとする原則である。

    • 手続的保障の原則

手続的保障の原則とは、租税の賦課・徴収等は「適正・公正な手続き」で行われなければならない、とする原則である。

[FP] 継続学習(リスクと保険)

リスクと保険

地震保険

地震保険の世帯加入率は伸び続けており、2009年末には23%となっている(http://www.nliro.or.jp/disclosure/toukei/index.html)。なお、火災保険に地震保険が付帯されている割合を示す付帯率は全国平均46.5%となっており、火災保険に加入している人の半数弱が地震保険を利用している。

地震保険は、地震だけでなく、噴火や、これらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没・流失によって建物または家財に損害があった場合に保険金が支払われる保険である。地震保険は居住用の建物(併用住宅含む)あるいはそれに収容される家財を目的とするため、事業専用の建物、商品や設備什器などは対象とすることができない。また単独で契約することもできないため、必ず火災保険に付帯して引き受けを行い、主契約である火災保険の保険金額の30〜50%で地震保険の保険金額の設定をする(建物5000万円、家財1000万円が上限。なお、家財のなかで1個または1組の価額が30万円超の貴金属・宝石・美術品などは対象にできないので注意)。

地震保険の保険金は全壊しても全額必ず支払いになることが約束されているわけではない。地震保険は政府が再保険を引き受けてその仕組みに関与しているが、1回の地震等についての保険金総支払限度額が決まっている。

また保険金の支払いについては、基本的な支払いの仕組みは全損、半損、一部損の3段階のみである。

2010年に入り火災保険の改定が行われ、特に建物構造の判定方法が大きく変わった。これに伴い地震保険の制度にも変更があった。この改定を踏まえて都道府県ごとの所在地区分と建物構造区分にも変更が出ている。契約物件には変更はなくても、この構造級別区分の変更によって地震保険契約時に保険料が著しく引き上げになるケースがある。こうした場合は激変緩和措置による経過措置料率が適用されている。

地震保険には2つの割引制度があったが、2007年10月からさらに2つの割引制度が追加され、現在では

    1. 建築年割引
    2. 耐震等級割引
    3. 免震建築物割引
    4. 耐震診断割引

の4つの割引制度がある。いずれの割引も割引の適用には所定の書類の提出が必要となる。またこれらの割引制度は、該当する最も有利な割引を適用することができるが、重複適用することはできないので注意しておきたい。地震保険の割引制度は主契約である火災保険の保険料部分にこれらの割引は適用されない。

[FP] 継続学習(ライフプランニング・リタイアメントプランニング)

ライフプランニング・リタイアメントプランニング

家族の多様化と遺族年金

  • 様々な受給ケース
    • 妻が受給する遺族年金

サラリーマンの夫が死亡した場合、妻が受給する遺族年金には、子の有無、年齢により5つのパターンが考えられる。

    1. 子のある妻(子18歳の年度末時点で、満40歳以上)
    2. 子のある妻(子18歳の年度末時点で、満40歳未満)
    3. 子のない妻(夫死亡当時40歳以上)
    4. 子のない妻(夫死亡当時40歳未満)
    5. 子のない妻(夫死亡当時30歳未満)

受給権発生後は、再婚等の失権事由に該当しない限り、妻(子のない30歳未満の妻を除く)は遺族厚生年金を受給できる。

    • 共働き家庭の遺族年金

共働き家庭においても、夫が死亡し、妻が受給する遺族年金については、前記のとおりである。一方、共働きの妻が亡くなった場合、夫には遺族基礎年金の受給権は発生しない。また、夫が遺族厚生年金を受給するには、妻死亡時に夫が55歳以上という年齢要件があるので、若い夫には遺族厚生年金の受給権も発生しない。

    • 離婚・再婚と遺族年金

妻に受給権が発生する場合も、離婚や再婚により複雑化する。

    • 独身の子とその父母

独身の子(厚生年金保険加入)と両親の場合、会社員である子が死亡した場合、55歳以上の父母には、その子の死亡による遺族厚生年金の受給権が発生する(保険料納付要件は満たしているものとする)。しかし、父母の場合、遺族厚生年金は60歳まで支給停止となる。60歳以降は受給できるが、自分自身の老齢厚生年金の受給権が発生すると、いずれかを選択することになる。

    • シングル家庭と遺族年金

母子家庭、父子家庭で、親(厚生年金保険の被保険者)が亡くなった場合、子には遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権が発生する。親の死亡により、養育費が必要となる。親族や他人に養育されても遺族年金には影響はないが、養子縁組の場合は注意が必要。

直系血族、直系姻族の養子となっても、遺族年金の受給権は失権しない。しかし、傍系血族、傍系姻族、あるいは他人の養子になった場合、遺族基礎年金、遺族厚生年金は失権する。

[FP] 継続学習(不動産運用設計)

不動産運用設計

住宅の品質確保のためのホームインスペクション

住宅取得に関するファイナンシャルプランニングでは「プランの実行援助」の段階で、出来る限り住宅の品質性能が確保できるように努めなければならない。

顧客が取得した住宅に瑕疵があった場合の措置は、民法宅地建物取引業法、住宅の品質確保等の促進に関する法律にそれぞれ規定がある。

  • 各種の現場検査

現在では、住宅新築の工程において瑕疵を未然に防ぎ品質性能を確保するために、設計段階で各種の検査体制(建築確認申請、フラット35、住宅性能表示制度、住宅瑕疵担保保護行政、長期優良住宅の認定、建築士法に基づく監理)が整備されている。

  • 現場監理業務

建築士法では、建築士は住宅建築にあたって工事監理を行うこととなっている。工事監理とは、工事を設計図書と照合してそのとおりに施工されているかどうかを確認し、相違点があった場合は是正を指示する業務である。さらに工事監理者は監理の内容を直ちに施主に文書で報告することとされている。但し、工事監理については機能としては十分とは言い難い。

  • ホームインスペクション

米国では瑕疵担保責任は日本と異なり、十分に調査しないで購入した側に責任があると考えて、原則として買主が負うものとされている。そのため買主は購入にあたって住宅瑕疵保証保険に加入するとともに、住宅を慎重に調査することになる。

調査は専門家であるホームインスペクター(住宅診断士)に依頼するのが一般的で、中南部から西部地区を中心に米国の住宅取引の60%強において利用されている。ホームインスペクターが行う住宅診断のことをホームインスペクションといい、その費用は診断内容によって数万円から数十万円となっており買主が負担する。

近年日本においてもホームインスペクション業務を行うホームインスペクターが登場しているが、いずれも民間の建築士や建築会社の社員、NPO法人などのメンバーであって公的な資格ではない。

[FP] 継続学習(金融資産運用設計)

金融資産運用設計

株式運用の代表的なインデックス

  • 世界株式のインデックス

世界の株式を対象に運用を行う際にベンチマークとして利用する代表的なインデックスはMSCI社(Morgan Stanley Capital International Inc.)が算出している[MSCI KOKUSAI」である。このインデックスは、2010年7月時点で日本を除いた世界23カ国の1,319銘柄で構成されている。なお、このインデックスは先進国の株式を対象としているため、中国やインド、ブラジル等の新興国の株式は含まれていない。インデックスの算出にあたっては、各銘柄の各国証券取引所における終値にWMロイター社のロンドン時間午後4時の為替レートを用いて換算している。

  • 各国・地域の株式インデックス
  • 米国
    • S&P500

格付け等の投資情報を提供しているS&P社が算出しているインデックスである。ニューヨーク証券取引所アメリカン証券取引所、ナスダックに上場している代表的な500銘柄で構成されており、時価総額加重平均で算出されている。

欧州の代表的な株価指数は、欧州通貨統合(EMU)加盟国の株式の対象としてSTOXX社が算出している「ダウ・ジョーンズ・ユーロ・ストック50種」である。このインデックスは、EMU加盟国のフランス、ドイツ、イタリア、スペイン等に上場する時価総額上位50種銘柄を対象に時価総額加重平均で算出されている。なお、英国は、EMU加盟国ではないためこのインデックスの対象とはなっていない。

    • FTSE100

英国の代表的な株価指数は、FTSE社が公表する「FTSE100」である。このインデックスはロンドン証券取引所に上場する時価総額上位100社を対象に時価総額加重平均で算出しており、ロンドン市場の時価総額の約80%をカバーしている。

  • 中国
    • 上海総合指数

中国の代表的な株価指数は「上海総合指数」である。上海株式市場は、主に中国人が人民元で取引を行う「A株式市場」と外国人向けに米ドルで取引を行う「B株式市場」がある。「上海総合指数」は、この両方の市場指数に連動するように時価総額加重平均で上海証券取引所が算出している。「B株式市場」は、2010年時点で銘柄数が54銘柄(A株871銘柄)と、A株の16分の1程度しかなく、市場規模もA株の時価総額約200兆円に対し約1兆円と小さいため、外国人が中国株に投資する場合、香港市場に上場している中国企業の「香港H株」で取引を行うことが多い。

  • 香港
    • ハンセン指数

香港株式市場の代表的な株価指数は、恒生(ハンセン)銀行傘下のハンセン・インデックス社が算出している「ハンセン指数」である。計43銘柄で構成されており、時価総額加重平均で算出されている。

[FP] 継続学習(相続・事業承継設計)

相続・事業承継設計

任意後見制度の概要と活用方法

  • 法定後見と任意後見の関係

成年後見制度」は、認知症などにより判断能力が不十分な人の行為能力を制限し、法律行為のサポートを行う保護者をつけることで本人の権利を守る制度。

    • 法定後見

すでに判断能力が低下した人について、家庭裁判所の審判によって保護者が決められる。判断能力の程度に応じて後見、保佐、補助の3つの類型があり、支援内容もそれぞれ異なる。

    • 任意後見

まだ判断能力が十分ある間に、本人が将来後見人となってほしい相手(任意後見受任者という)を選び、支援してもらう内容を決めて契約を結ぶ。

  • 任意後見契約の内容

任意後見契約を結ぶと、将来実際に判断能力が低下したときに、後見人が様々な事務手続きや契約を代理することになる。内容は、「財産管理」と「身上監護」の2つに分けられる。

    • 財産管理

金融機関との取引や不動産の管理・売却など、財産に関係する手続きや契約について代理できる。

    • 身上監護

医療・介護・施設入所のための手続き、要介護認定の申請など、本人の心身を守るために必要な手続きや契約について任意後見人が代理できる。

  • 任意後見契約が役立つ場面

    1. 財産を守れる
    2. 介護費用を調達しやすい
    3. 現在の生活を維持できる
    4. 相続発生に対処できる

  • 任意後見制度を利用するには

    1. 受任者を決定する
    2. 契約を結ぶ
    3. 契約の発効
    4. 契約の終了

  • 他制度との併用

現時点では判断能力に問題はないが、身体機能が低下していたり、将来身体不自由になった場合に備えたいという人は、任意後見契約と同時に、日常的な事務手続きについての委任契約(財産管理等の委任契約)を結ぶことも考えられる。内容は任意後見契約と同様だが、本人の判断能力が十分なうちに契約が発効するという違いがある。

このようにすれば、判断能力に問題がないうちから受任者が財産管理を行うことで、将来判断能力が低下したときは任意後見にスムーズに移行できるという利点がある。このように2つの契約を結ぶことを「移行型」というのに対して、任意後見契約だけを結ぶことを「将来型」という。

[FP] 継続学習(タックスプランニング)

タックスプランニング

国際課税の基礎知識

国際取引については、「条約」の参照が不可欠である。

居住者の国内取引は通常の所得税の対象だが、国外取引にわたる場合であっても全所得について日本で課税対象となる(無制限納税義務)。これに対し、非居住者の場合には、国内源泉所得のみが課税対象となる(制限納税義務)。

      • 居住者の場合

居住者が国外で所得を得た場合、為替換算後、国内取引との合算課税が行われる(全世界所得課税)。しかし、活動段階で国外の源泉所得課税を受けた場合、二重課税が生じる。租税は国の内外を問わず経済には中立でなければならない(資本輸出中立性)から、本国であるわが国において外国所得税の控除を認めた(外国税額控除制度)。国外所得総額に対する日本の税率相当額を限度額とし、国別でなく全体で税額控除の限度額が計算される。

      • 非居住者の場合

対象者が非居住者の場合には国内源泉所得に限られる。国内源泉所得とは、経済的に日本市場から得た収入とこれに因果付けられる必要経費との差額を意味する。

        • 国内事業所得

事業が国内で行われた場合、国内源泉所得となる。事業とは、反復継続性を備えた営利行為であり、コストをかけて利益(付加価値)を獲得する過程である。

        • 国内資産所得

国内資産の運用・保有・譲渡による所得は国内源泉所得である。資産の所在地を判定基準とする。債券・貸付金などは債務者の所在地、保険金請求権・預貯金・有価証券などは取引営業所単位で判定する。

投資リターンの現在要因として、源泉徴収の有無は重要である。基本的に収入総額に対して、20%の源泉徴収課税だが、税率は所得分類で変化する。一方、事業所得には源泉徴収がない点と、条約の特則に留意する。

  • 確定申告の要否

決め手は、非居住者の「恒久的施設(Permanent Establishment:PE)」の存否である。PEが存在すれば、その施設に帰属する損益は、総合課税の対象となる。

非居住者の確定申告は、青色申告制度を含め、原則として居住者に準ずる。ただし、雑損控除、寄付金控除および基礎控除以外の所得控除はなく、外国税額控除の適用もない。