[FP] 継続学習(タックスプランニング)

タックスプランニング

国際課税の基礎知識

国際取引については、「条約」の参照が不可欠である。

居住者の国内取引は通常の所得税の対象だが、国外取引にわたる場合であっても全所得について日本で課税対象となる(無制限納税義務)。これに対し、非居住者の場合には、国内源泉所得のみが課税対象となる(制限納税義務)。

      • 居住者の場合

居住者が国外で所得を得た場合、為替換算後、国内取引との合算課税が行われる(全世界所得課税)。しかし、活動段階で国外の源泉所得課税を受けた場合、二重課税が生じる。租税は国の内外を問わず経済には中立でなければならない(資本輸出中立性)から、本国であるわが国において外国所得税の控除を認めた(外国税額控除制度)。国外所得総額に対する日本の税率相当額を限度額とし、国別でなく全体で税額控除の限度額が計算される。

      • 非居住者の場合

対象者が非居住者の場合には国内源泉所得に限られる。国内源泉所得とは、経済的に日本市場から得た収入とこれに因果付けられる必要経費との差額を意味する。

        • 国内事業所得

事業が国内で行われた場合、国内源泉所得となる。事業とは、反復継続性を備えた営利行為であり、コストをかけて利益(付加価値)を獲得する過程である。

        • 国内資産所得

国内資産の運用・保有・譲渡による所得は国内源泉所得である。資産の所在地を判定基準とする。債券・貸付金などは債務者の所在地、保険金請求権・預貯金・有価証券などは取引営業所単位で判定する。

投資リターンの現在要因として、源泉徴収の有無は重要である。基本的に収入総額に対して、20%の源泉徴収課税だが、税率は所得分類で変化する。一方、事業所得には源泉徴収がない点と、条約の特則に留意する。

  • 確定申告の要否

決め手は、非居住者の「恒久的施設(Permanent Establishment:PE)」の存否である。PEが存在すれば、その施設に帰属する損益は、総合課税の対象となる。

非居住者の確定申告は、青色申告制度を含め、原則として居住者に準ずる。ただし、雑損控除、寄付金控除および基礎控除以外の所得控除はなく、外国税額控除の適用もない。