継続教育(2月分)(その4)

リスクと保険

民間介護と介護にまつわる社会保障

民間介護保険の特徴と介護に関連する社会保障

  • 現物給付と現金給付

介護サービスの利用にあたり、実際にかかる費用の1割を自己負担すればよい現物給付型の社会保険。 市区町村の介護保険窓口などに申請をして、要介護1〜5または要支援1・2のいずれかの認定を受けなければ介護サービスは使えない。 対象となるのは介護保険料を納めている第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40歳以上65歳未満の医療保険加入者)である。第2号被保険者はアルツハイマー病などの初老期の認知症、脳血管疾患、末期がん等の特定疾病で介護や支援が必要となった場合に限られる。

寝たきりや認知症で所定の要介護状態になったときに保険金等が給付される。
介護が必要になったときに現金が給付されるのは、民間介護保険ならではの特徴。

民間介護保険には、公的介護保険の要介護・要支援認定に連動する「連動型」と保険会社が独自で審査・給付する「非連動型」がある。

    • 生保の連動型

公的介護保険で所定の要介護状態であると認定されたときに保険金等が支払われる。給付の対象となる要介護状態は保険会社によって異なる。

    • 損保の連動型

上記に加えて、公的介護保険の認定申請日を起算日として一定期間(フランチャイズ期間)を超えて要介護状態が継続することが給付の条件となっている。

    • 非連動型

保険会社が独自に定めた要介護状態が一定期間継続したとの医師の診断により判定する。

  • 死亡保障を兼ね備えている介護保険は大きく5種類

民間介護保険には介護保険だけに特化したものと、死亡保障や医療保障を兼ね備えたものがある。 死亡保障のある介護保険には大きく5つのタイプがある。

    • 生前給付保険タイプ

生きている間に介護保険金を受け取った時点でその契約は終了。介護保険金と死亡給付金が重複支給されることはない。

    • 死亡保障+介護タイプ

介護保険金や介護年金を受け取った後に死亡した場合でも、所定の死亡給付金が支払われる。

    • 介護年金総額差し引きタイプ

介護年金等を受け取った後に死亡した場合、死亡給付金額からすでに支払った介護年金等の総支給額を差し引いて支払う。

保険料払込期間中(第1保険期間)の死亡保障が抑えられ、主契約からは介護保険金等を支払うことはない(介護保障は特約で保障)。保険料払込満了以降の第2保険期間は、死亡・介護保障ともにアップして終身保障される。

    • 投資型終身介護年金保

変額個人年金に終身保障特約と介護時保証特約が付いたもの。所定の要介護状態に該当した場合は介護給付金が、介護給付金を受けずに死亡した場合は死亡給付金が支払われる。 介護給付金・死亡給付金ともに特別勘定の運用実績に応じて変動するが、基本保険金額が最低保証される。

  • 介護費用が高額になったときには
    • 高額介護(介護予防)サービス費制度

同じ制度で同じ月内に利用した介護サービス費の自己負担分*1の合計額が所定の上限額(月3万7,200円〜1万5,000円。所得により異なる)を超えた場合に超過分の払い戻しが受けられる。

    • 高額医療・高額介護合算療養費制度

同じ世帯で医療費と介護費の両方を負担している家庭の経済的負担を軽減するためにできた制度。 次のすべてに該当すれば、現金の払い戻しを受けられる。

      • 同じ世帯で1年間(毎年8月1日〜翌年7月31日)に、公的医療保険と公的介護保険の両方で自己負担額を支払っている*2
      • 1年間の自己負担合計額が同制度の自己負担額を超えている。

いずれの制度も、手続きをしなければ払い戻しを受けることができない。

*1:入院中の食費・居住費・日常生活費等の費用、住宅改修および福祉用具購入の自己負担分は対象にならない

*2:公的医療保険の自己負担額とは、高額療養費制度の対象となる医療費で、制度利用後の自己負担額。入院中の食事療養費や差額ベッド代等は対象とはならない。公的介護保険の自己負担額は、注1.と同じ