継続教育(2月分)(その2)

不動産運用設計

借地の整理(権利関係の調整)

定期借地権を含む借地借家法(平成4年8月1日施行)が制定される以前から設定されていた借地、いわゆる旧法の土地賃借権(以下、借地権)を対象とする。

  • 借地の整理(権利関係の調整)の目的

地価の高い首都圏では、借地権にも当然に価値が認められ、所有権の土地と同じように市場で売買されている。 ところが、借地権については

    • 建て替えや譲渡をする際に地主の承諾が必要である。
    • 地代や更新料、承諾料等の負担が大きい。

また、底地については

    • 収益性や流動性に劣る。
    • 相続時の評価が高い。

といった特徴があるため、いざ売却しようと思っても想像以上に低い価格でしか売れないことも少なくない。 所有権*1にすることができれば、その土地全体の価値が上げることができる。

  • 借地権、底地を当事者間で売買する

借地権を地主に、または、底地を借地人に売却することにより、取得(購入)する側は土地の所有権者となる。現実的には取得する側の資力が問題になるケースが多い。

  • 借地権の一部と底地の一部を交換する

借地権の一部と底地の一部を交換してそれぞれ所有権の土地を持つ方法である。

    • ある程度の免責があり、分割可能であること等が条件となる。
    • 道路付けや地形など、分割の方法により土地の価値に違いが出る場合には、その価値も考慮する必要がある。
    • 測量分筆費用や建物解体撤去費用などの諸経費の負担についても協議の対象となる。

交換後に所有権の土地として第三者に売却するケースも少なくない。このほか借地権または底地を他の不動産と交換する方法も考えられる。

  • 借地権と底地を同時に第三者に売却する

借地人が借地権を、地主が底地を同時に第三者に売却することにより、購入者は所有権を取得することになる。 具体的には、借地権の売買契約と底地の売買契約が連動して同時に行われる。合計額は所有権の価格であるが、借地権と底地の価格の配分については、借地人と地主との間であらかじめ決めておく必要がある。

*1:借地権の設定された土地は、借地権所有者と底地所有者が同一人となることにより借地権が消滅して完全な所有権となる。