継続学習(2月分)(その6)

相続・事業承継設計

民法における相続人


法定相続について

  • 相続人となる者
    1. 被相続人の配偶者
      被相続人の配偶者は、常に相続人となる。したがって、次の2.に掲げる相続人がいる場合も、配偶者は同順位で相続人となる。留意すべき点は、ここで言う配偶者は被相続人の死亡時に正式な婚姻関係のある者を指している。そのため、いわゆる内縁関係にある者は正式な婚姻関係がないことから相続人には該当しない。
    2. 被相続人の一定の血族
      被相続人の一定の血族は相続人となる。血族である相続人には、被相続人との関係に応じて第1順位から第3順位までが付されているが、これは優先順位であり第1順位の血族がいる場合にはその者のみが相続人となり、第2順位と第3順位の血族は相続人とはならないことになる。

第1順位子およびその代襲相続
第2順位直系尊属*1
第3順位兄弟姉妹およびその代襲相続

  • 相続権を失う場合など


相続人となる者であっても、次の1. または2. に掲げる者は相続権を失い相続人になることができなくなる。

    1. 相続人の欠格に該当する者:
      故意に被相続人等を死亡するに至らせて刑に処せられた者など民法第891条に定める欠格事由に該当する者。
    2. 廃除をされた者:
      遺留分を有する推定相続人(相続が発生した場合に相続人となるべき者)が、被相続人に対する著しい非行があったときに、被相続人が、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求し、これが認められた場合のその推定相続人。なお、廃除の請求は遺言によってもすることができる。


また、同じく相続人となる者であっても、相続の発生を知ったときから原則として3ヶ月以内に自ら家庭裁判所へ申述することにより相続放棄をした者は、初めから相続人とならなかった者とされる。


血族相続人とうち、第1順位または第3順位の血族が本来相続人となるときにおいて、その血族が被相続人の死亡する以前に死亡していた場合(以下、「以前死亡」とする)や欠格・廃除により相続権を失った場合には、その血族の直系卑属である子(次に述べる「養子の子の代襲相続権」を参照)が代襲者として相続権を引き継ぐという代襲相続が生じる。そして、相続権を引き継いだ代襲者を代襲相続人という。


第1順位における代襲相続については、子の代襲者である孫が以前死亡していた場合や欠格・廃除により相続権を失った場合はその孫の子が代襲相続人となるなどといった再代襲、再々代襲が認められている。

この再代襲等は第3順位における代襲相続には認められていないため、第1順位の代襲相続人は被相続人の孫の他に曾孫等もなり得るが、第3順位の代襲相続人は甥、姪のみで甥の子や姪の子は代襲相続人とはなり得ない。

また、相続放棄については、代襲相続は発生しない。


養子縁組は、縁組をした時点で養親およびその血族と養子との間に血族関係が生じることになるが、養親およびその血族とは血族関係が生じないこととされている。このことから、養子縁組時点で出生していた養子の子は養親と血族関係がないことになる(代襲相続人とはならない。)

  • 相続税における相続人の数の取り扱い


相続税において基礎控除額や相続税の総額を計算する場合に用いる法定相続人の数と、民法上の法定相続人の数は異なる場合がある。

    1. 相続放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数とする。
    2. 法定相続人の数に含める被相続人の養子の数には、次の制限を設ける。


ただし、前記2.の養子の数の制限において、次の養子は実子扱いとなり法定相続人の数にそのまま含まれることになる。

*1:直系尊属の中に親等の異なる者がいる場合は、被相続人と一番親等が近い者のみが相続人となる